英語人口だけじゃない!フィリピンの英語水準はアメリカ以上?

英語留学に関心のある方なら、フィリピンの英語人口が実は世界第3位だということもご存知かもしれません。しかしこの「英語人口」という数字は計測基準が曖昧なので、ことビジネスにおいてはあまり意味を持たない、ともいわれています。
実際のビジネス現場では、フィリピン人の英語スキルが「世界一」だとする統計データがあるのをご存知でしょうか?
なぜフィリピン人の英語水準がそこまで高いのか、それはフィリピンという国を理解することで自明になってきます。
日常生活に英語が溢れているフィリピン
子供の頃から日常的に英語に接することが英会話上達の近道だ、という話は日本でもよく耳にしますね。その環境に恵まれているのがフィリピンです。
例えばテレビのバラエティ番組を観ていても、フィリピン語と英語がチャンポンで使われています。子供が大好きなアニメ・チャンネルは、アメリカのカートゥーン・ネットワークがそのまま流れています。
大人と一緒に観ている映画チャンネルも、ハリウッド作品がそのまま英語で放送されています。
フィリピン人は音楽が大好きです。大きなレストランなどでは、生バンドがレディ・ガガやケイティ・ペリーを歌っています。タクシーのラジオからも、アメリカのオールディーズが聞こえてきます。
ローカルな住宅街では早朝から大音量で音楽を聞く家があって、安眠が妨げられるかと思いきや、誰も文句を言わないのです。
世界を見渡してみても、母国語以外にこれほど英語が溢れている国はそうそうありません。
フィリピン最大の輸出品は、英語ができる人口の多さ
日本は工業製品の輸出で経済成長してきました。中東諸国は石油で潤ってきました。
ところがフィリピンは天然資源が乏しく、これといった世界的な産業もありません。それゆえフィリピン国内よりも高い賃金を求めて、多くの労働者が海外へ出稼ぎにいきます。
香港やシンガポールでは、経済的に余裕のあるお宅はフィリピン人の家政婦を雇います。家政婦という仕事柄、雇い主とのコミュニケーション力が必須なので、英語のできるフィリピン人は重宝されるのです。
アメリカのどんな田舎町でも、必ず一人はフィリピン人の医者がいる、ともいわれます。成績優秀なフィリピンの高校生は、母国の大学ではなくアメリカに進学するケースも多いのです。
看護や介護の分野でも、アメリカやカナダで働くことを目指す学生の数は、日本で働きたいと考える学生数よりもはるかに多いのが実情です。賃金も日本に負けていませんし、日本語を覚える必要もないのですから。
また中東の産油国でも、建設現場や飲食店などでフィリピンからの出稼ぎ労働者が重宝されています。
フィリピンでマクドナルドをしのぐファストフード最大手の「ジョリビー」が、東南アジアの周辺国よりも先に中東に進出したのは、それだけ多くのフィリピン人がいて需要が見込まれたからです。
海外へ出稼ぎに行くフィリピン人は全労働人口の1割以上ですが、フィリピン国内においても、英語人口は武器になっています。
英語圏の大手企業がいくつも、コールセンターをフィリピンに置くようになった結果、コールセンターのアウトソーシング・シェアでフィリピンは今や、世界一になっています。
アメリカ国内の消費者が電話で苦情をぶつけている相手は、実はフィリピンにいるオペレーターなわけです。
英語の質も高いフィリピン
コールセンターをフィリピンに置く理由は、人件費だけではありません。フィリピン人の英語は訛りが少なく、ヒアリングがしやすいのです。
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アメリカでも南部などに行くと、強烈な訛りに出くわします。またニューヨークなどの大都市でも、タクシー運転手をしているアフリカ系移民などは英語とは思えないような英語だったりします。
オーストラリアやシンガポールに、独特の訛りがあるのも有名ですよね。
英語の習得が目的であれば、アメリカの片田舎にホームステイしたり、オーストラリアでワーキングホリデーなどするより、フィリピンがベターと考える人がいるのも不思議ではありません。
世界156ケ国で働くグローバル企業の従業員10万人以上を対象に、アメリカのある企業が英語スキルの調査をしました。その結果を「ビジネス英語指数」として、国別に10点満点で評価しています。
残念なことに日本の評点は3.4。アジアのなかでも最低レベルでした。一方フィリピンは、2位以下に大差をつけて7点台。堂々の世界一に輝きました。
しかも驚くなかれ、この調査では英語の本家であるアメリカでさえ5点をやっと超えるレベルだったのです。トランプ大統領の登場で「メキシコ国境の壁」が注目されたように、
移民の労働力でアメリカ経済が成り立っている側面があるわけです。しかし移民が必ずしも英語が堪能なわけではもちろんありません。
タクシー運転手の例などは、まさにそうした実情を反映しているものです。
フィリピンで英語が共通語化した背景
私たち日本人は、国単位で「***人」とつい捉えがちです。フィリピンに住んでいる民族はフィリピン民族だ、と疑問にも思わないのが普通でしょう。
大小合わせれば7千以上の島々からなるフィリピンは、実は多民族国家です。8大言語といわれるタガログ語やセブアノ語をはじめとして、100以上の言語集団があります。
今はフィリピンという1つの国になってはいても、母語では意志疎通がほとんど図れないくらい、地域の違いがあったりします。
そうなると当然、共通語が必要になるわけで、それが皮肉なことにフィリピンを植民地化したアメリカの言語になったのです。(アメリカは20世紀の前半、ほぼ半世紀にわたってフィリピンを実質的に支配しました)
同じことはインドにもいえます。多民族・多言語の国家ゆえの帰結として、英語が公用語化したわけです。先にコールセンターのシェアに触れましたが、フィリピンの前に世界一だったのはインドです。
英語人口でフィリピンは世界3位で、2位がインドです。しかしインドは人口が12億5千万人もいる大国だからで、実際に英語を話せる人の比率では1割強しかありません。
一方フィリピンは9割以上が英語人口にカウントされています。
現在、公式には「フィリピン語」がありますが、これはマニラ地域で話されていたタガログ語をベースとしたものです。
フィリピンの人口は約1億人ですが、そのうちタガログ語を母語とする人々は4分の1程度しかいないのです。
例えばセブ島に住む人々の多くはセブアノ語で日常会話をしています。
そしてテレビではタガログ語を聞き、英語の音楽を聴いているわけです。子供の頃からこうした多言語の環境に置かれていることで、外国語の習得がスムーズなのでしょう。
日本に出稼ぎに来たフィリピン人が、驚くような速さで日本語を話せるようになるのは、こうした背景がプラスに働いているように感じます。
フィリピン人と友達になれば英語の上達が早い
その昔、英語圏のペンパルと「文通」することを英語上達の手段として勧められた時代もありました。今はSNSなどで、もっと簡単に海外の人々と交流が可能な時代です。
もちろんアメリカ人やイギリス人とも友達になることは可能ですが、世界有数の親日国家であるフィリピン人のほうが、日本に対する憧れや尊敬の念が強い分、友達作りはより簡単ではないでしょうか。
しかもフィリピンと日本では時差が無いに等しいので、リアルタイムで交流するならアメリカやイギリスよりもメリットが大きいはずです。
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