ACR I-Card(外国人登録証)とは?59日以上滞在する保護者・観光客の取得義務と費用

ACR I-Card(TVV)とは

ACR I-Card(Alien Certificate of Registration Identity Card)は、フィリピンに60日以上滞在する全ての外国人が取得を義務付けられている、マイクロチップ内蔵の外国人登録証(身分証明書)です。

ACR I-Cardの右下に記載されている「Visa Status」欄には、観光ビザ保持者(留学生を含む)全員に対して一律で「9(A) TVV」(Tourist Visa Holder / 観光客)と印字されます。

また、語学留学生は「SSP I-Card(学生用)」の取得も義務付けられているため、60日以上滞在する場合は「ACR I-Card(TVV)」と「SSP I-Card」の2枚を取得する必要があります。

2枚のカードの違いと「ダブル取得」のルール

まず、留学生が直面する「カード2枚持ち(または2回支払い)」の仕組みを整理しましょう。

項目① SSP I-Card (SSP E-Card)② ACR I-Card (本記事:観光用TVV)
登録目的就学許可の登録 (Student)滞在許可の登録 (Tourist)
対象者語学学校に通う全生徒59日を超えて滞在する人
取得時期入学直後 (1週目)滞在2ヶ月目のビザ延長時
費用目安約4,500~5,500ペソ約5,000ペソ~
注意点全員必須長期(約8週間以上)滞在で必須

なぜ2回払う必要があるのですか?

フィリピン留学では、滞在資格は「観光ビザ(9a)」のまま、追加で「就学許可(SSP)」を取って勉強します。

  • SSP I-Card: 「勉強しても良い」という許可に対する登録証。
  • ACR I-Card: 「観光ビザで長期間(60日以上)フィリピンにいる」という事実に対する登録証。

この2つは管轄が異なるため、3ヶ月以上留学する場合、入学時に①を払い、滞在途中で②も払うことになります。

ACR I-Card 取得が必要になる「59日ルール」とは?

観光ビザ(9(a) Visa)で入国した外国人は、滞在日数によって手続きが変わります。これが通称「59日ルール」です。

滞在が59日以内の場合:②は不要

  • 入国時: 30日間の滞在許可。
  • 1回目の延長(Visa Waiver): +29日間(計59日間)。
  • 結論: 8週間(約2ヶ月)以内の留学であれば、観光用ACR I-Cardを作る前に帰国となるため、費用はかかりません(SSP I-CardのみでOK)。

滞在が60日以上になる場合:②が必須

  • 2回目の延長: 60日以上の滞在申請をする際、移民局の窓口で「観光用ACR I-Cardの申請」が強制的にセットになります。
  • 結論: 12週間(約3ヶ月)以上の留学生は、現地でビザ更新をするタイミング(留学して2ヶ月経った頃)で、このカード代を追加請求されることになります。

親子留学の保護者(付き添い)の場合

授業を受けない保護者様は、SSP(就学許可)が不要なため、純粋に「滞在日数」だけで判断します。

  • 滞在59日以内: カード作成は一切不要です。
  • 滞在60日以上: 2回目のビザ延長時に、観光用ACR I-Card(約4,500ペソ)の取得が必要です。

ACR I-Card 2025年7月からの費用改定(値上げ)

2025年7月1日より、フィリピン入国管理局の手数料が改定されました。観光用ACR I-Cardも値上げされています。

  • 旧公式価格: 3,500ペソ
  • 新公式価格: 4,500ペソ(+1,000ペソの値上げ)

実際の窓口での支払額(目安)

長期留学生が、滞在2ヶ月目のビザ更新時に支払う総額は以下のようになります。

  • ACR I-Card発行費: 約5,000ペソ〜(公式費+エクスプレス手数料)
  • ビザ延長費(2ヶ月分): 約3,000ペソ〜
  • 合計支払目安: 約8,000〜9,000ペソ(約20,000円〜23,000円)

※「最初の請求でビザ代は払ったはずなのに、また高額な請求が来た」と驚かないようにしてください。これは長期滞在の必須経費です。

一度出国するとACR I-Card(TVV)は「無効」

フィリピンの観光ビザ(SSP含む)で滞在している場合、ACR I-Cardの扱いに注意が必要です。カードに有効期限が「1年間」と記載されていても、実務上のルールは異なります。

出国時にカードは「返還」が原則

一度フィリピンを出国すると、その時点の滞在許可がリセットされるため、ACR I-Card(観光用:TVV)は無効になります。 本来、出国時に空港の移民局カウンターでカードを返却するのが正式なルールです。

再入国したら「再申請」が必要

もし一時帰国した後に、再度フィリピンへ戻って留学を再開する場合、滞在日数は「1日目」から数え直しとなります。 その滞在が改めて60日を超えるのであれば、古いカードを持っていても、再度ACR I-Cardを申請(支払い)し直す必要があります。

短期留学でカードが届く前に帰国する場合

1〜2週間の超短期留学では、カード本体が手元に届く前に帰国日を迎えることがほとんどです。その場合は、学校から渡される「申請時の控え(領収書等)」を空港で提示すれば問題なく出国できます。

6ヶ月以上滞在する方の「ECC(出国許可)」の罠

フィリピンに長期滞在(6ヶ月以上)する際、最も注意すべきなのがECC(Emigration Clearance Certificate)、いわゆる「出国許可証」の取得です。

「ACR I-CardやSSP I-Cardを作っているから大丈夫」と思っていても、これを知らないと当日に空港で飛行機に乗れないという最悪のトラブルに繋がりかねません。

多くの留学生がハマる誤解

インターネット上には「留学生は空港のカウンターでECC費用を払えば出国できる(ECC-B)」という情報があります。しかし、これはあくまで「9(f) 学生ビザ(大学正規留学など)」を保持している人のルールです。

語学学校に通う皆さんの多くは、SSPを取得していてもビザのステータス自体は「9(a) 観光ビザ(Temporary Visitor)」のままです。フィリピンの規定では、観光ビザで6ヶ月以上滞在した外国人は、原則として「ECC-A(タイプA)」の対象となります。

ECC-Aの注意点
  • 空港では取得できません。
  • 申請場所: 市内の移民局オフィス(Bureau of Immigration)。
  • 申請時期: 帰国日の3日前〜1ヶ月前まで。
  • 必要なもの: 証明写真(2×2インチ)、指紋登録、申請費用。

帰国の1ヶ月前に必ず学校へ確認を

もし「空港で当日払えばいい」と思い込んで空港に行き、カウンターで「あなたはECC-Aが必要だから市内の移民局に戻りなさい」と言われた場合、飛行機には乗れません。

学校によっては手続きを代行してくれる場合もありますが、「自分はECC-A(事前申請)が必要な対象かもしれない」という前提で、帰国の1ヶ月前には必ず学校スタッフに申請の流れを確認しましょう。

2026年アニュアルレポート(年次報告)の義務は?

アニュアルレポートは、ACR I-Cardを持つ「登録外国人」に義務付けられていますが、「Temporary Visitor(観光ビザ保持者)」は免除されています。

  • 学留学生(観光ビザ+SSP)の場合: SSP I-Cardを持っていても、ビザの種類が「観光ビザ」であれば、この年次報告を行う必要はありません
  • 対象となる人: 永住ビザ、就労ビザ(9g)、学生ビザ(9f)、リタイアメントビザ(SRRV)などの長期滞在ビザを持っている人です。

語学留学生(SSP保持者)への注意: 観光ビザで滞在している一般的な留学生は、SSP I-Cardを持っていてもアニュアルレポートの対象外です。手続きや支払いの必要はありません。対象となるのは、保護者の方が就労ビザを持っていたり、大学進学などで学生ビザ(9f)に切り替えたりしている場合のみです。

よくある質問(FAQ)

留学生ですが、SSP I-Cardがあれば観光用ACR I-Cardは不要ですか?

いいえ、滞在期間によります。 滞在が59日以内(約8週間)であれば不要ですが、60日以上(約12週間以上)滞在する場合は、SSP I-Cardを持っていても、別途「観光用ACR I-Card」の取得費用がかかります。

カードが2枚になりますが、両方持ち歩く必要がありますか?

基本的には「ACR I-Card(観光用)」が身分証になります。 SSP I-Card(E-Card)は学校での保管や手続き用に使われることが多く、街中で身分証として提示したり、銀行口座を開設したりする際は、より効力の強い「観光用ACR I-Card」を使用するのが一般的です。

観光用ACR I-Cardの費用はいくらですか?

実費で約5,000ペソ以上かかります。 2025年7月の改定により公式価格が4,000ペソに値上げされました。これにエクスプレスレーン費用などが加算されます。ビザ延長費用と合わせると、3ヶ月目の更新時に約8,000〜9,000ペソの支払いが必要になります。

帰国時にカードは返却する必要がありますか?

基本的には返却不要です。 有効期限(1年)内であれば、次回フィリピンに来た際にも身分証として使えます。ただし、ビザの種類を変更する場合や、6ヶ月以上の滞在でECCを取得する際に回収されることもあります。

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