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今フィリピン渡航を考えてる人で最も気になるのが治安以上に「デング熱」ではないでしょうか?
観光や留学でフィリピンを訪れる人が最も欲しい情報の一つだと思います。ニュースや行政の発表を見るとぎょっとしますよね。
※2019/8/13時点
こんなの見てたら、フィリピン行きのフライトキャンセルボタンを押したくなっちゃいますよね(笑)ただ、そう簡単に渡航中止するわけにはいかないという方も多いはずです。
今回はそんな方のために、フィリピン渡航回数50回以上の僕とフィリピン現地でデング患者を多く見てきた看護師のシェーンが「どんな対策があるのか?エリア別のリスクはどうなのか?」を詳しく説明します。
★この記事ではこんなことがわかります★
デング熱は、デングウイルスを保有する蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)に刺されて起こる感染症です。ヒトからヒトへの空気感染はありません。
感染したら2~15日間の潜伏期間後、突然の発熱・頭痛・結膜充血などの症状がおこり、続いて全身の筋肉痛・関節痛・倦怠感が現れます。
また、発症の3日後あたりから身体の大部分に発疹が広がりますが、デング熱を発症しても通常1週間ほどで自然回復・治癒します。
但し、重症化するケースも1~5%程度あり、最悪死に至るケースもあります。重症化するのは、免疫力が高くない幼児や高齢者に集中しています。
わー、デング熱って言葉しか知らなかったけど、酷い風邪って感じなんですね。そして、自然治癒しかないって辛い・・
そう、自然治癒しかないんだな、これが。これまでは、東南アジアとかの熱帯・亜熱帯地方特有の感染症だったんだけど、温暖化の影響なのか、これまで見られなかった北部地域でも感染報告が最近目立ってきたから他人事じゃなくなってきてるよ。
WHOの研究では、「地球温暖化などの影響で蚊の生息地が北部で拡大している。最近では、豪州や米国、さらには中国、台湾、日本の沿岸部でも流行しやすくなっている」と警戒を強めている。
引用元:JBpress「日本も危険、世界大流行中のデング熱」
デング熱は、世界的に流行しています。フィリピン以外で日本から近い東南アジアで見てみてもこれだけの感染者がいます。
意外と知られてませんが、実は日本でもデング熱に感染する人が少なくありません。直近10年間の日本国内の年間デング熱感染者数を見ると平均100人前後です。
あれ!日本でも普通に感染するんですね!知らなかった・・代々木公園この前行ったけど私大丈夫?(笑)
デング熱の症状は、風邪やインフルエンザに似ているので、医療機関でも見過ごされることがあるほど初期の判断はつきにくいです。なので、以下の症状が出ていれば、医療機関でデングの検査を行うことをお勧めします。
引用:JPPH
フィリピン保健省は、「フィリピン全体で2019年1月~7月までに約17万人が感染し、前年比を大きく上回すスピードで拡大している」と発表し、多くのメディアが取り上げました。
ただ、この記事では「わー怖い!」って思うだけじゃなく、あなたが渡航するエリアでどれだけのリスクを潜めているのか、冷静に見極めていきます。
フィリピンでのデング熱感染者数を同国保健省(DOH)の発表データ(2019年1月-7月)を元に抽出してまとめてみたところ、以下のようになりました。
参考:DOHデータより作成(2019/8/16現在)
一番感染が多いエリアは、西ビサヤ(バコロドやイロイロ含む)、次いでマニラの下の方に位置するカラバルゾン地方(タガイタイ・バタンガス含む)、そしてミンダナオ島方面、セブ島のある中央ビサヤの順となっていますね。
シンさん、これだと地域が大きすぎて、私が行く場所がどれなのかよくわかんないです・・・
次に、もっと細かなエリアでシティ別を感染者数をまとめてるので、そちらも合わせてみてみてください。
まずは、フィリピンの首都「マニラ」を見てみます。
ちなみにメトロマニラというのは、東京23区のように全てが高度都市化市として独立した16市と1町で構成されている首都圏のことです。特にマカティ市(Makati)は経済の中心地のひとつで、観光・留学・日本人駐在員居住先としても有名な場所です。
引用元:DOH
上の表は、2019年1月から7月までのメトロマニラ内でのデング熱感染者数をまとめたものです。
メトロマニラ全体で10,103人と他のエリアと比べると突出していますが、メトロマニラのどこに行くのかによって感染リスクが大きく変わります。なので、街ごとに分けた数値を参考にしてください。
なるほど、一般的にマニラと呼ばれるところでも全然違うんですね!
次は、メトロマニラ以外で有名なフィリピン留学先に絞って感染リスクを数値で見てみます。
参考:DOHデータより作成(2019/8/16現在)
シティ別では、ダバオシティとセブシティが上位を占める結果となっています。
逆に、留学先でもセブに次ぐ人気を持つバギオやクラークは、前年比を下回っていてデング熱注意報すら出ていないなど、場所によって全然違うことがわかります。
留学先として有名なセブシティが感染者数が多くてショック!!行けば感染リスクが高そうですよね・・
確かに、他のエリアと比べるとセブシティは感染者数が多いよね。でも、人口比で見たらその感覚かなり変わると思うよ。
え?人口比ですか?
次は、同じデータを使いながら各シティの人口比で「感染確率」を出してみたら、意外な結果になったので見てみてください。
ここでは、単なる感染者数の多さだけでリスクを判断するのではなく、人口比でどれほどの感染確率があるのかを把握しておきましょう。
仮に感染者数が1000人いたとしても、人口10000人に対しての1000人なのか(10%の感染確率)、人口10万人に対して1000人(1%の感染確率)で、受ける印象やリスク度合いは全く変わってきます。
因みにセブシティの人口は92万人なので、感染確率は0.1%ですよね。さらに、余談ですが「1年間で交通事故で死傷する確率は0.528%」という統計(WHOの世界保健統計)もあります。セブシティで感染する確率はその1/5だということになります。
あれ、なんかそんな風に考えると大したことないように思えてきました(笑)シンさんすごい・・
ということで、先ほどの「フィリピン留学先別のデング熱感染者数」を改めて人口比で計算してみました。こちらの方が本当のリスクがわかるはずですよね。
参考元:Population.CityとDOHデータから作成(2019/8/16現在)
わー、なんか拍子抜けするぐらい確率は低かったんですね!なんかちょっと安心ました。
東京の感染率(0.01%)より高いことには変わりありませんが、このようにワースト1位ドゥマゲッティや2位セブシティを見ても、(我々が報道で思うような感覚的に受けるリスクよりも)人口比で見るとかなり低い確率だったことがわかりますよね。
感覚的なリスクで判断するのではなく、人口比で割り出した数値を見ると意外と感染確率は低いことがわかったと思います。
ここからは、以下に説明する「デング熱予防・対処法」を読んで、感染確率をさらに下げていきましょう。
・Search and destroy mosquito breeding places
・Self-protective measures like wearing long sleeves and use of insect repellent
・Seek early consultation on the first signs and symptoms of the disease
・Say yes to fogging if there is an impending outbreak引用元:フィリピンDOH
フィリピン保健省はこのように病院施設や地方行政に対して要請を出しています。
因みに、2016年ジカウイルス(デング熱同様に蚊が媒体)が流行った時も全く同じ要請を出していたことを見ると、これしか対処法がないということが垣間見えますね。
各自治体は、デング熱を媒介する蚊の繁殖の可能性が高い場所(汚い水が溜まりやすい場所)の詮索・駆除を行っていますが、残念ながら収拾の目途はまだ立っていません。
なので、特にリスクの高いエリアでは自己防衛が欠かせないですね。予防方法は以下を参考にしてください。
引用:Photographer: Ted Aljibe/AFP via Getty Images
今のところ、ワクチンや治療法はありません。
厳密には、2017年に大手製薬会社サノフィ(フランス)が巨額の投資をしてデングワクシアというワクチンを開発しています。でも、過去にデング熱に感染した患者限定だったりフィリピンで使用した幼児が死亡するケースが相次いだため、使用が中止されています。
今は、武田製薬(「TAK-003」)や米国立衛生研究所がデング熱ワクチンの開発を進めているところで、早くこのようなワクチンが普及することを祈るばかりです。
ワクチンや確立された治療法がないため、以下の対策が欠かせません。しっかり対策しておきましょう。
実は、デング熱ウイルスを持っている蚊に刺されても感染する人・しない人がいます。感染しない人の特徴として、体調管理がしっかりできているということが挙げられます。
渡航先では疲労が溜まりがちですが、「睡眠時間をきちんと確保する」「サプリなどでビタミン剤を採る」などして免疫力を高く保つことも重要な対策の一つとなります。
以前シンさんが、私がフィリピンに行く前にビタミンCを毎日飲めって言ってくれたのはこのためだったんですね!
現地に持っていくといいとされている蚊よけグッズを紹介します。
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日本で売られている蚊よけ製品の中で、よく効くといわれるのがKINCHOが出している「蚊がいなくなるスプレー」です。蚊以外の虫対策(ゴキブリなど)にも有効だという話もあるので、必ず持っておきたいアイテムですね。
ちなみに、この製品は高圧ガススプレーなので、飛行機に持ち込めないと思いきや、「預入荷物」として預けると大丈夫です。
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高圧スプレー缶ではなく、ミストタイプを選ぶならフマキラーの「スキンベープミスト」がお勧めです。この製品はダニにも有効なので、寝床が気になる方は持っておきたいアイテムです。
これはフィリピンでは定番中の定番のアイテムで、スーパー、コンビニ、バス乗り場などあらゆる場所で見つけることができます。1本200円程度なので、日本から持ってきた蚊よけスプレーがなくなってもこれで十分代用できます。
意外かもしれませんが、フィリピン人の蚊よけは扇風機だったりします。扇風機の首を振らずに集中的に身体に向けておくと、蚊が身体に止まってられなくなるという原理です。
特に寝るときに扇風機の風を直接当てて寝ると、それだけで蚊よけ対策にもなるという隠れアイテムです。
発症しても、通常は1週間前後で回復・治癒する事が一般的です。ですが、稀に重症化するケースもあるので(全体の1~5%程度)、適切な処置をしましょう。
ここからは、現地で数多くのデング熱患者を治療してきた僕の友人であり看護師のシェーンに、万が一フィリピンでデング熱を発症してしまった時にどうすればいいのかを聞いてみました。
「シェーン、日本人が万が一デング熱をフィリピンで発症してしまったらどうしたらいいの?」
「デング熱を疑うような症状(激しい頭痛や38度以上の熱など)が出たらまずは検査を受けるといいよ。
だいたいどこの病院でも、1週間程度の入院をしながら解熱剤の投与や水分補給などの対処療法を行うはずだよ。」
「病院にではどんな検査がされるのかな?」
「病院では、まずヘモグロビンの値が高いか低いかを見るために、血液検査をするよ。」
「それでデング熱はわかるの?」
「いや、それはヘモグラビンの数値が安定しているかどうかを測るものだからデング熱かどうかはわからないよ。熱によるものかインフルエンザによるものかを判断するものなんだ。デング熱かどうかを検査するにはN2っていうテストをするよ。」
「それをすればデング熱かどうかわかるんだね!じゃあフィリピンの病院ではN2を希望すれば受けられるんだね。でも、なんで最初っからN2を受けさせないのかな?」
「N2テストは普通の血液検査より高額なんだよ(笑)ただ、N2テストを受けさせるかどうかはドクターが最終的に決めるからね。ただ、3日間位高熱と頭痛が続いたらデング熱を疑ってもいいと思うよ。」
「日本人渡航者ならみんな海外旅行保険に入ってるから、最初っからN2受けてデングの可能性を確認したいと思うよ。」
ちなみに、病院でデング熱の可能性を伝えたいときはこんな風に言うといいです。
“I suspect I have dengue.”( デングの疑いがあります。)
効果的なワクチンがないデング熱ですが、重症化して死亡してしまうケースはかなり稀です。感染者の1~5%程度です。ここでは、実際に重症化する例や死亡してしまうケースについて聞いてみます。
「重症化してしまって、死に至るケースってどれくらいあるの?」
「いや、実際かなりレアだよ。そういう人って病院からはかなり遠く離れた田舎に住んでて、重症化したにも関わらず病院に行かない(もしくは行けない)ような人たちに集中しているんだよ。」
「なるほど、ってことはきちんと手当を受けていれば、高熱や関節痛で苦しむかもだけど大抵回復してるってことだね。」
●帰国時に発熱など心配な症状のある方や、渡航先において医療機関を受診するなど体調に不安のある場合は、空港や港の検疫所にご相談ください。
●デング熱の潜伏期間は2~14日です。帰国後に症状が出た場合は、自分一人で判断せず、速やかにお近くの医療機関を受診し、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
引用:厚生労働省
デング熱に罹ってしまった場合、普通に帰国していいのでしょうか?
厚生労働省は、帰国時の注意点で上のようにアドバイスしています。ただし、渡航先で症状が現れた場合は重症化する前に速やかに現地の医療機関で受診することをお勧めします。
また、デング熱は感染症法内の4類感染症全数届出疾患に該当するため、日本で受診した場合は最寄りの保健所に届けられます。
そもそも帰国前にデング熱の症状が出ていれば、帰国を一時中断して治療に専念した方がいいはずだよ。高熱の状態で長時間フライトはきつすぎるしね・・
デング熱は、アメリカ大陸だけで年間58万人の感染者を出すなど、今や日本を含めた世界100か国以上で流行しているので、どこにいたとしても正しい知識と罹った時の対処を間違わないようにする必要があります。
今回、デング熱が大流行しているフィリピンに絞ってエリア別どれほどのリスクがあるのかを調査してみた結果、場所が変わると感染者の数(リスク)が全く違うことがわかりました。
但し、マニラやセブシティなど感染者数が多い場所であったとしても、人口比で見ると実は日本国内で事故に遭って死ぬ確率よりも低い確率だったので、その国に行けば必ず感染してしまうと判断してしまうのは早まった考えです。
仮にデングウイルスを媒体する蚊に刺されたとしても、免疫力の高い人であれば発症しなかったり、体力のある人であれば発症しても重症化しにくいという傾向があることもわかりました。
ただし、急な発熱を伴う激しい頭痛など疑わしい症状が出た場合、我慢せず早めに医療機関に診てもらうことをお勧めします。勝手に風邪と判断して間違ったお薬を飲んでると重症化を促進してしまう可能性すらあるからです。
自分でできるデング熱対策は、身近な蚊の産卵環境から締め出し、長袖の着用や虫よけ剤を使うなどの忌避対策を行うことです。出発前には、蚊よけアイテムを準備し、渡航先エリアのリスクがどれほどなのか、発症した時の症状や滞在先の近くに病院があるのか前もってチェックしておきましょう。
▼デング熱以外の感染症・予防についてはこの記事を見てください▼
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