フィリピンの国公立大学と私立大学の違い|学費・入試・留学生の受け入れを比較

フィリピン大学マニラ校

「フィリピンの大学にも、国公立と私立があるの?学費や入りやすさはどう違う?」と気になっていませんか?

フィリピンには2,300を超える大学(カレッジを含む)があり、大きく国公立大学と私立大学に分かれます。日本と同じように国公立の方が学費は安いものの、留学生にとっては「入試の難しさ」と「留学生の受け入れ」にも大きな違いがあります。

この記事では、フィリピンの国公立大学の種類(州立大学・地方自治体立の大学など)と、私立大学との違いを、学費・入試・留学生の受け入れの3つの面から比べます。後半では、主な国公立大学を国内順位(EduRank 2026)つきで紹介します。

フィリピンの大学への正規留学の全体像は「フィリピンの大学進学ガイド」で解説しています。

フィリピンの大学の数と種類

フィリピン大学ディリマン校

フィリピンの大学は、国や地方自治体が設立・運営する国公立大学(Public University)と、財団や宗教団体などが運営する私立大学(Private University)に分かれます。

フィリピン高等教育委員会(CHED)の2024〜25年度の集計では、大学とカレッジは全部で2,334校。そのうち私立が1,619校、国公立が715校(州立大学の分校を含む)です。数のうえでは、私立大学が全体の約7割を占めます。

種類校数(2024〜25年度・CHED)どんな大学か
州立大学(SUC)本校113校・分校442校国の法律で設立され、国の予算で運営される大学。フィリピン大学(UP)もここに入る
地方自治体立の大学(LUC)154校州や市・町が設立し、運営する大学。マニラ市立大学など
そのほかの政府系の学校6校省庁などが運営する学校
私立大学1,619校財団・宗教団体・企業などが運営する大学

「州立大学」は日本の国立大学に近い

SUC(State Universities and Colleges)は日本語で「州立大学」と訳されることが多いのですが、予算は国から出ており、日本でいえば国立大学に近い存在です。この記事で紹介するベンゲット州立大学やセブ・ノーマル大学、フィリピン・ノーマル大学も州立大学です。

その中でも特別なのがフィリピン大学(University of the Philippines/UP)です。フィリピン大学は2008年の法律(フィリピン大学憲章)で国の「国立大学(National University)」と定められ、ディリマン校を本校に、マニラ・ビサヤ・ミンダナオ・バギオなど各地にキャンパスを持っています。

一方、地方自治体立の大学(LUC:Local Universities and Colleges)は、州や市が予算を出して運営する大学です。たとえばマニラ市立大学は、マニラ市が運営しています。

フィリピンの国公立大学の特徴

学費:フィリピン人は無料、留学生は支払う

フィリピンでは2017年の法律(共和国法第10931号)で、州立大学と地方自治体立の大学の授業料が、フィリピン人の学生は無料になりました。入試に合格し、在学の条件を満たせば、学士課程の授業料などを払わずに通えます。

この無料の対象はフィリピン人の学生だけで、日本人などの留学生は授業料を支払います。それでも国公立大学の授業料は私立大学より安く、多くの大学で1年に約3万〜10万円ほどです。フィリピン大学の系列は約16万円と、国公立の中では高めです(いずれも2021年時点の目安)。

ただし、国の予算で運営されているため、私立大学に比べると校舎や設備が古い大学が多くあります。

入試:難しい大学が多い

国公立大学は入試が難しい大学が多く、留学生にとってはさらにハードルが上がります。

入試では英語・数学・科学など複数の科目を受け、英語が得意で成績のよいフィリピン人の受験生と同じ試験で定員を争います。フィリピン人は授業料が無料になるので、成績のよい学生が多く受験し、競争が激しくなります。フィリピン大学の系列は、UPCATという共通の入試を受けます。

留学生の受け入れ:少なく、慣れていない大学が多い

国公立大学の学生は、ほとんどがフィリピン人です。たとえば外国人の学生の割合は、フィリピン大学ディリマン校で0.6%、マニラ校で0.7%、ベンゲット州立大学で0.2%ほどです。

留学生の受け入れ実績が少ない大学では、出願や入学の手続きの案内が整っていないこともあります。国公立大学を目指すときは、出願の前に、留学生を受け入れているかどうかと手続きの流れを大学に確かめておきましょう。

フィリピンの私立大学の特徴

ファティマ大学

私立大学は、財団・宗教団体・企業などが設立し、運営する大学です。フィリピンの大学の約7割が私立大学で、アテネオ・デ・マニラ大学、デ・ラサール大学、サント・トーマス大学などの名門校も私立です。

学費:国公立より高く、大学ごとの差が大きい

私立大学の授業料は1年に約10万〜50万円ほどで、マニラの上位校ほど高くなります(2021年時点の目安)。学費が高い大学ほど校舎や設備が整っており、日本人も落ち着いて学べる環境の大学が多くあります。

入試:大学によって大きく違う

私立大学の入試の難しさは、大学によって大きく違います。大学ランキングの上位に入る名門校は、入学時の英語力の条件があり、英語・数学・科学・小論文など多くの科目の対策が必要です。

一方で、入試なしで出願できる大学や、英語の面接など英語力の確認だけで出願できる大学もあります。入試の形が違うのは大学の方針の違いで、入試が無いからといって教育の質が低いわけではありません。

留学生の受け入れ:多い

英語力の確認が中心の入試で出願できる大学が多いため、留学生の多くは私立大学に進学しています。留学生の受け入れに慣れた大学が多いのも安心できる点です。当社の送り出し実績があるセントロ・エスコラール大学やホセ・リサール大学も私立大学です。

国公立大学と私立大学の比較

フィリピンの国公立大学と私立大学の違いを、表にまとめました。

国公立大学私立大学
大学の数(2024〜25年度・CHED)715校(州立大学の分校を含む)1,619校
留学生の学費(1年・2021年時点の目安)約3万〜10万円ほど(フィリピン大学の系列は約16万円)約10万〜50万円ほど(マニラの上位校ほど高い)
フィリピン人の学費授業料は無料(2017年の法律)有料
入試難しい大学が多い。フィリピン人の受験生と同じ試験で競う大学によって違う。入試なし・英語力の確認だけで出願できる大学もある
施設古いところが多い学費が高い大学ほど整っている
留学生少ない。受け入れに慣れていない大学が多い多い

国公立か私立かで、学べる科目や先生の質に大きな差があるわけではありません。学部の強さを比べるなら、CHEDが学部ごとに与えている優良認定(COE・COD)が目安になります。

学費の差はありますが、4年間の費用の大半は生活費です。国公立か私立かという枠だけで決めず、学びたい学部・自分に合った入試・暮らす街をあわせて選びましょう。大学を選ぶときの6つの視点は「フィリピンの大学の選び方」、日本の高校を卒業して出願できるかどうかと必要書類は「フィリピンの大学の入学条件」、学費と生活費の総額は「フィリピンの大学留学の費用」の記事で解説しています。

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フィリピン大学(UP)の系列のキャンパス

ここからは、主な国公立大学を紹介します。国内順位は大学ランキング「EduRank 2026」、難易度は当社の分類(S=入試がある難関大学/A=入試はあるがSほど難しくない大学)、学費は留学生の1年間の授業料で2021年時点の目安です。

まずはフィリピン大学の系列です。どのキャンパスも入試はUPCATで、難易度はトップクラスです(SAT・IBディプロマなどの基準を満たす留学生は、UPCATを受けずに出願できます)。

1.フィリピン大学ディリマン校

フィリピン大学ディリマン校

フィリピン大学ディリマン校は、1908年に創立されたフィリピン大学の本校です。マニラ首都圏のケソン市にあり、EduRank 2026で国内1位のフィリピンを代表する大学です。

多くの学部が政府の優良認定を受けており、フィリピンで最も入るのが難しい大学のひとつです。

国内順位(EduRank 2026)1位
種類国立(州立大学)
難易度Sクラス
学費約16万円~/1年(2021年時点の目安)

2.フィリピン大学マニラ校

フィリピン大学マニラ校

フィリピン大学マニラ校は、医療系の学部を中心にしたフィリピン大学のキャンパスで、医療分野ではフィリピンのトップの大学として知られています。マニラ市のエルミタにあり、学生数は約6,000人です。

フィリピン総合病院(Philippine General Hospital)を運営しており、医療系の学部を専攻したい人に向いています。

国内順位(EduRank 2026)6位
種類国立(州立大学)
難易度Sクラス
学費約16万円~/1年(2021年時点の目安)

3.フィリピン大学ビサヤ校

フィリピン大学ビサヤ校

フィリピン大学ビサヤ校は、パナイ島のイロイロにあるフィリピン大学のキャンパスです。設立は1979年で、学生数は約3,000人と小規模です。

水産・海洋の分野に力を入れており、海洋学部が政府の優良認定を受けています。

国内順位(EduRank 2026)14位
種類国立(州立大学)
難易度Sクラス
学費約16万円~/1年(2021年時点の目安)

4.フィリピン大学バギオ校

フィリピン大学バギオ校

フィリピン大学バギオ校は、フィリピン大学が1921年にバギオに設けたキャンパスです。学生数は約2,500人と小規模です。

本校と同じUPCATを受けるので、地方のキャンパスでも入試の難易度は高くなります。生物学・数学・物理学などの理系の学部が政府の優良認定を受けています。

国内順位(EduRank 2026)29位
種類国立(州立大学)
難易度Sクラス
学費約16万円~/1年(2021年時点の目安)

5.フィリピン大学ミンダナオ校

フィリピン大学ミンダナオ校

フィリピン大学ミンダナオ校は、ミンダナオ島のダバオにあるフィリピン大学のキャンパスです。

学生数が約1,500人と少なく、定員も限られるため、競争は激しくなります。生物学部が政府の優良認定を受けています。

国内順位(EduRank 2026)48位
種類国立(州立大学)
難易度Sクラス
学費約16万円~/1年(2021年時点の目安)

主な州立大学

フィリピン大学の系列のほかにも、各地に学費の安い州立大学があります。国内順位の高い順に紹介します。

1.フィリピン・ノーマル大学

フィリピン・ノーマル大学

フィリピン・ノーマル大学は、1901年にマニラに設立された、教員を育てる州立大学です。マニラ市のタフト通りに本校があり、学生数は約10,000人です。

フィリピン人の学生は授業料がかかりませんが、外国籍の学生の学費は公表されていないため、出願の前に大学へ確かめる必要があります。校舎は古く、老朽化が進んでいます。教育学部が政府の優良認定を受けています。

国内順位(EduRank 2026)27位
種類州立大学
難易度Aクラス
学費外国籍の学生の学費は大学公式に記載なし

2.ベンゲット州立大学

ベンゲット州立大学

ベンゲット州立大学は、北ルソンの学園都市バギオの隣町、ラ・トリニダッドにある州立大学です。設立は1916年で、学生数は約10,000人です。

農業の学部から始まった大学で、農学部には長い歴史があり、国内でも有数の学部として知られています。学費は約3万円からと安い一方で、フィリピン人の受験生が多く集まり、競争は激しくなります。

国内順位(EduRank 2026)36位
種類州立大学
難易度Aクラス
学費約3万円~/1年(2021年時点の目安)

3.セブ・ノーマル大学

セブ・ノーマル大学

セブ・ノーマル大学は、セブ市にある州立大学です。設立は1902年と歴史が長く、教育系と看護系の学部が政府の優良認定を受けています。

学費は約3万円と安い一方で、留学生の受け入れ実績は少なく、学生のほとんどがフィリピン人です。出願を考えるときは、留学生を受け入れているかどうかを先に大学へ確かめる必要があります。

国内順位(EduRank 2026)41位
種類州立大学
難易度Aクラス
学費約3万円/1年(2021年時点の目安)

4.サウスイースタン・フィリピン大学

サウスイースタン・フィリピン大学

サウスイースタン・フィリピン大学は、ミンダナオ島のダバオにある州立大学です。設立は1978年で、学生数は約10,000人です。

学費は約4万5,000円からと安い一方で、入学条件のレベルは高く、高校の成績が平均85%以上であることが求められます(2021年時点)。IT・教育・農業・言語などの学部が政府の優良認定を受けており、特に農業と教育に定評があります。

国内順位(EduRank 2026)52位
種類州立大学
難易度Sクラス
学費約4万5,000円~/1年(2021年時点の目安)

5.セブ工科大学

セブ工科大学

セブ工科大学(Cebu Technological University)は、セブ市に本校を置く州立大学です。セブ州の各地にキャンパスがあり、学生数は全体で約46,000人にのぼります。

授業料は約4万円からと安く、セブの一般の家庭の学生が多く学んでいます。校舎や設備は新しくありませんが、IT系・エンジニア系の学部の評価が高い大学です。

国内順位(EduRank 2026)100位圏外
種類州立大学
難易度Aクラス
学費約4万円~/1年(2021年時点の目安)

6.リザール工科大学

リザール工科大学

リザール工科大学(Rizal Technological University)は、マニラ首都圏のマンダルヨン市にある州立大学です。1969年にリサール・カレッジとして設立されました。

IT・エンジニアリングの学部に強みがあります。

国内順位(EduRank 2026)100位圏外
種類州立大学
難易度Aクラス

地方自治体立の大学

マニラ市立大学

マニラ市立大学

マニラ市立大学は、1965年にマニラ市のイントラムロスに設立された、マニラ市が運営する大学です。学生数は約6,600人です。

授業料は約3万円からと安い一方で、入試の難易度は高い大学です。政府の優良認定を受けた学部はありませんが、ビジネス・エンジニア・IT・観光など仕事に直結する学部がそろっています。

国内順位(EduRank 2026)46位
種類地方自治体立の大学(市立)
難易度Sクラス
学費約3万円~/1年(2021年時点の目安)

まとめ

  • フィリピンの大学とカレッジは2,334校。私立が1,619校、国公立が715校(2024〜25年度・CHED)
  • 国公立は、国の予算で運営される州立大学(SUC)と、州や市が運営する地方自治体立の大学(LUC)が中心。フィリピン大学(UP)は法律で定められた国立大学
  • 国公立の授業料はフィリピン人は無料(2017年の法律)。留学生は支払うが、1年に約3万〜10万円ほどと私立より安い(2021年時点の目安)
  • 国公立は入試が難しく、留学生の受け入れに慣れていない大学が多い。留学生の多くは私立大学に進学している
  • 国公立か私立かだけで決めず、学部・入試・暮らす街をあわせて選ぶ
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この記事を書いた人

フィリピン留学Hub代表。2013年からフィリピン・セブ島留学の支援を続けて13年。自身も2度のフィリピン留学を経験し、TOEIC900・IELTS6.5を取得。

語学学校70校以上を現地で視察し、年間1,000件以上の留学相談に対応。学校の良い点も弱点も、見てきたまま正直に書いています。